2005/07/22 建築行脚 vol.1 tomihiro

建築行脚の記録。
まずは富広美術館。設計はヨコミゾマコト氏。
これは、コンペの時から注目してました。
円形の展示室が連続する空間は興味深いものでした。
屋根を見られる場所が無いので、外観であのかわいらしい水玉模様が見られないのが残念。
てっきり、前の美術館も残っているのかと思ったのですが、すっかり無くなっていました。
当初の計画では、駐車場は湖に沿って計画される筈だったようですが、全面の山を切り崩して駐車場を設けている点は疑問です。
内部の空間は、予想以上に多様な様相を呈していて、鏡の様な開口部は不思議な感覚を与えてくれます。
でも、メインの展示空間に空調機が増設されていたのに驚きました。
運営側も試行錯誤しているのでしょうが、あんなに安易に空調を付加している美術館は初めて見ました。おそらく「暑い」という意見があったのでしょうが、私が来館した時は寒すぎていられないくらいでした。まして、自然を愛する富広さんの絵をそんな状態で見る事が良い事なのか疑問です。あの状態は、ヨコミゾさんは知らないのだと思います。
設計段階で、かなりの密度で空調計画を設計している筈です。
あのような状況は、たいてい建築家は蚊帳の外で勝手に改変されるのは、運営側に能力が無いと言わざるを得ません。せっかくの建築が台無しです。
もう一つ気になったところは、順路が設定されている事です。コンセプトでは均質ではない、多様性を表現しているのだから、順路を指定する事は、空間性が著しく制限されて、非常に不自由な感じがします。円形の平面から、様々な経路で展示を見られるからこそ円形である事の意味が強化されるのであって、あれでは一般的なホワイトキューブの方がよっぽど心地よいです。
運営側はもっと建築の意味を考えなければいけないと思います。
富広さんの詩画は素晴らしいですが、建築があまりにもリンクされていないように感じます。
同行していた、私の家族が「富広さんの絵と何となくそぐわない」と言われたのは
私にとっては、ショッキングでした。
あの建築は現代建築としてかなり高いレベルで新たな空間性を獲得していると思います。
しかし、富広美術館としてのあり方はどうなんだろうか、と考えさせられました。
コンペ作品を編集した本があったので、試しに宮本さんの案を家族に見せたところ
「こっちの方が良いんじゃない」と言われました。
その案は、美術館としては従来の常識を覆す様な案で、散策路の様なものです。
それは最終選考まで残り、審査員の先生達も考えさせられたようですが、最終的には実現しませんでした。
ある意味、あの案はそういう「富広美術館」としてのあり方に忠実だったのだと気づかされました。
これは、決して批判ではなく、建築を志す者としての無いものねだりなのかも知れません。
でも、色んな意味でこの建築は印象に残るものになりました。
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