2007/11/09 prototype

先日、久しぶりに「#5115」のお施主様にお会いしました。
この住宅を眺めていると当時の状況がいろいろ思い出されてきて、そんな話で盛り上がってしまいました。
今でもこの住宅は嫁いだ我が娘のように僕自身は思っているのですが、とてもかわいがって頂いているようで安心しました。
よくこの住宅を見て住宅らしくないというようなことを言われるのですが、(当然お施主様以外の人に)
僕自身住宅らしさとはなんなのか、そしてそれが本当に生活に必要なものなのか疑っている部分があります。
建築は周囲の環境にかなりの確立で影響されます。その立地条件によって形態自体が変化するものです。
マンションに住めるのに、この住宅に住めないと思うならそれは思い込みでしかありません。
僕はこのクライアントと共にこの地の生活をイメージしながら創り上げたと言う自負があります。
だからまぎれもなくこの建築は住宅なのです。
この住宅の周辺環境は現在非常に混濁しており、住宅が密集するエリアと再開発により高密度な土地利用を推進したいエリアのエッジに存在します。その開発も未だ完工する目処もなく空き地が目立つ地域です。
つまり再開発が進めば、いずれこの住宅が林立するビル群に埋もれる可能性があるということです。
現に同時期の隣地で10階建てのマンションが建設されました。
そんな中で、例えばハウスメーカーの住宅がここに建ってしまったらどうでしょう。
その住環境が悲惨な状況になるのは容易に想像つくでしょう。
しかし、多くの人はそれでも住宅であれば、「住宅らしさ」という幻想を追い求めると思います。
長野市で住宅を建てたいと考えている人達もいざ建てようとすると、土地探しに苦労している人が多くいるようです。
そのような方の多くが、所謂「住宅らしい」家がはまるような土地を探しています。
そして、そのような土地はだいたいハウスメーカーの建築条件がつけられていることが多いのです。
ハウスメーカーはそういった大衆のイメージを追従しているので、買う側もなんとなく安心するのだと思います。
やはり、そこでも「住宅らしさ」が全てのよりどころのようです。
そこで、僕からの提案!
「幻想」を捨てることです。
本当に必要なことはなんなのか。資金の大小は関係ありません。
僕はその住宅らしさを再構築したいと考えています。
そして、そもそも住宅というビルディングタイプが必要なのかということも含めて。
「#5115」はそのプロトタイプとしての作品と言えるでしょう。
画像は竣工当時の「#5115」
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