TNデザイン一級建築設計事務所

French restaurant

 

photo:Moelle Rotie by John Pastor

年末にたまたま知り合った方の話。
その方は長野に店を出すことになったのだが、どうもその店に問題があるらしい、ということで相談を受けた。
ほとんど完成している状態なので、僕が口出す余地はないのだが、現場を拝見するうちに・・・。
ここで、多くを語ることは出来ないが、問題だらけの現場だった。
その方も、我慢しきれずに僕に相談をしている状態なので、今までかなり我慢していたようだ。
僕の方で出来ることをいろいろやってみた結果、なんとか、軌道に乗ったようでやっと完成が見えてきたので、僕もほっとしているのだが。
僕にとっても仕事というより、悩み相談的にいろいろ努力したのだが、このような事態に至ってしまった根本的な問題は、設計者の不在ではないだろうか。
どんな計画にもプロデュースなりプランニングなり、計画を遂行するためのスペシャリストとして建築家なり、設計者が必要である。
それが、時にはデザイナーだったりコーディネーターと呼ばれる建築家以外のデザイナーである場合もあるが、その計画がうまく行くかどうかは、その設計者にかかっている。
どんなに凄腕の大工であろうが、設計の技術も凄腕であるとは限らない。
モノをうまくつくることと、どういうモノをつくるかということは、別次元だと思う。
「どうつくるか」ということは、ソフト的な話が多くなるが決してハード抜きには語れない部分もある。
つまりハードとソフト両方の知識に精通していないと具現化することはできない。
住宅にしろ店舗にしろ、単に形にすることは極端な話誰でも出来る。
それをどうつくるかは、クライアント次第でもあるのだが、そこに大きく差が出るのは設計者の存在であり、それを軽視すると、「誰でも出来ること」さえも出来ないことも起こりえる。
そのお店を見ながら僕はそう感じました。
その方には、「もっと、世の中の誤解を解く努力をした方がいいですよ!」と言われました。
その誤解というのは、建築家にお願いするとただ高い設計料を請求されるだけだということなんですが。
まだまだ、こういう認識は多いし、現にそれが原因でこの方もこのような状況に至ったと思います。
僕とのやり取りの中で理解してもらったことが、一般的にも認知してくれれば良いのですが。