Category Archives: 2013

HIROSHIMA-3

2つ目の”気付き” 住宅作品はその外観がどんなに印象的だったとしても 見つけることはなかなか難しいものだ。見つからないことも多々ある。 だから、あまり期待しないで歩いていたら、大きな通りに面するという情報だけでたどり着いてしまった。 ”Optical Glass House” 設計は中村拓志さん。 光学ガラスを使用したファサードが印象的ですが、佇まいが美しい。 こんな市街地で作られている建築なのに、異空間のよう。 エントランスの間接照明がほのかに光っていて、クライアントの理解の深さにまた感動。…

HIROSHIMA-2

初めて訪れる街では、出来るだけ歩くようにしています。 時間の無いときは、無駄に思えるようなことも実はいろいろな情報を 見落としているだけかもしれません。 今回もいろんな”気付き”がありました。 その一つは、平和大橋と西平和大橋。 ここは歩かないとなかなか良さがわかりません。 少し低めで特徴のある形状の欄干はイサム・ノグチの作品。 石風のコーティングは近く、当初の打放し状態に改修されるらしい。…

HIROSHIMA-1

北国生まれの人間としては、瀬戸内の気候や風景がとても憧れてしまいます。 広島も川や海が近く、さらに路面電車のおかげなのか道路がとても広い。 それが僕の故郷札幌にどこか似ている感じがして、すこし懐かしく思いました。 初めて訪れた広島の印象はそんな感じです。 丹下さんの「広島平和記念資料館」のために広島まで足を延ばしました。 「ピースセンター」の有名な写真でお墓と共に写っている工事中のものがとても印象的です。 その部分は連絡通路が新たに追加されてしまって、現状とは違いますが そこで丹下さんが建築に込めた思いがどれほどのものなのだろうと想像していました。 最近になって躯体全体を改修していたと思いますが、とてもきれいな状態になっていて 上部などはネットで保護されていました。 軸線がデザインされていて、とても壮大なスケールを感じます。 個々の建築もさることながら、やはり神の視線で作られたかのような建築。…

karmannghia-2013

愛しのカルマン様が5ヶ月間のプチ?レストアの大手術を伴う入院を経て、やっと帰ってまいりました。 下回りというぱっと見はさほど変化は無さそうに見えますが、もう違う車のように快適になってしまいました。 ただし、もう一台分の費用がかかりましたが・・・。冬の寒さはこれで、かなり改善されそうです。 多分、乗り始めた時から小さな孔を見た目だけ補修されていたので、気が付かずに腐食が進んだと思われます。 しかし、徹底的にフロアを修繕したので完璧です。 他にも錆びているところはありますが、フロア周りを直したというより作りなおしたので、かなり乗り味が変わりました。 それにしても、素晴らしい職人技を見せてもらいました。 たくさんの写真を見せて頂きながら、説明を受けましたがカルマンのロッカーパネルは構造自体がとても複雑で 鉄板が何重にも折り重なって、ヒーターダクトを兼ねているために写真を見ていても、よく分からない形状を復元していました。 新しいクルマを作ることよりも、こういう再生技術の方が、これからは重要なんじゃないかなーと思ったりしますが。 さらに、この会社は古い車をEV化するという事業も立ち上げていますので いずれ、カルマンがEV車になってもおかしくないかもしれません。 車業界がそれぐらい柔軟だったらい…

せとうち

丸亀をあとにして、坂出駅へ。 偶然にも谷口特集です。「東山魁夷せとうち美術館」 長野にも東山魁夷の美術館があるのですが、こちらの外壁は石張りを採用していて 長野のよりも重厚な雰囲気を醸し出しています。 石自体はグリーンのスレートとブラックの花崗岩は共通の素材でまとめられています。 しかし、ここでは石を使っていますが、長野ではアルミのスパンドレルを採用しています。 谷口さんのコメントから、長野では重厚にせずに軽快にしていると語っています。 ここに来るとその理由が何となく理解出来ました。 あの場所で、石を使えば異様に重くなりすぎるということだと思います。 善光寺があり、隣にはRC造の本館もある。 美術館はどこでも石張りが要求されがちであるが、あそこで石は使えないと思ったのだろう。 しかし、「せとうち」は周囲に何もなく、海に面している。 そこでは逆にアルミは無いと思える。 しかも、規模もそんなに大きいものではない。 余計に重さを与えたほうがバランスを取れる。 なんてことを、考えながら海側から眺めていた。…

丸亀

高松駅を出発し、丸亀へ。 「丸亀市猪熊弦一郎現代美術館」設計はMOMAも設計した谷口吉生さん。 こちらはMIMOCA(Marugame Genichiro-Inokuma Museum of Contemporary Art)。 日本では珍しい駅前美術館なのを着いてから知った。 なるほど、こんな駅前はめったに見られないし、最寄り駅がこんな感じなら毎日の通勤が楽しそう。 展示は大竹伸朗展ニューニュー丸亀。 なかなか面白くて、最初は見る気がなかったのだがやはり目の前に行くと見ずにはいられない。 しかも、珍しく撮影が許可されていた。 駅から見るとこんな感じ。 谷口さんの建築は本当にスマート。 矩形の立面が特徴的だが、ディテールがとても詰められているので、いつ行っても綺麗です。 この美術館も1991年の竣工なので築22年ですが、端正な佇まいを保っています。 このカフェでの一時は最高の時間でした。雨で客足も少なかったせいもあるかな。 でも、屋根に追加された「宇和島駅」ってなんで、「丸亀駅」ではないのだろうかと思っていたら これも大竹伸朗の作品らしいです。…

Kagawa

本当は小豆島のある作品が見たかったのですが、日程の関係で断念。 島巡りは終わって、周辺の建築たちに目を向けようと思いました。 実は四国は初めてで、前回は淡路で折り返しました。 まずは、高松、香川県庁舎。 この夏に県立美術館で丹下さんのイベントが行われていたそうですが 見ていませんので、せめて県庁舎でもと思い、小雨の中を歩きました。 10月20日は台風の足音が聞こえてきそうな天気でした。 でも、建築は晴れの日に見たほうが良いことが多いのですが、すごい建築は 雨でもより凄みを増す気がします。 特にコンクリートが濡れて黒光りをしていて、より抽象度を増している。 乾いた表面はどうしても、コンクリートの劣化具合が気になってしまう。 背後に建つ新庁舎の方が、アルミという素材のせいもあるが、雨にはあまり似合わない。 その存在感に打ちのめされ、近くを歩くとさらなる存在感のビルがある。 こちらも、なかなかインパクトがあります。…

inujima

さて瀬戸内芸祭の旅は終盤です。 犬島にやってまいりました。 ここでは、三分一さんの美術館がメインですが家プロジェクトは妹島さんが担当しています。 随所に妹島ワールドが展開されていますが、人口約100人の小さな島です。 なので、とてものんびりというか道で出会う人は、芸祭を見に来ている人ばかりという状態です。 それが、島にとっていいのか悪いのかちょっと考えてしまいます。 でも、アートを恒久的に島全体で作っていこうとする姿勢は、これからの島のあり方として 最善なんだということは良くわかります。 僕の個人的な感想では、今の展示作品よりも当初の展示のほうがインパクトがあって興味を持ちました。 また、精錬所美術館は建築的には素晴らしいのですが、展示内容が僕には少し理解できない部分がありました。 まぁアートはそういう考えさせるという行為が多分に必要なことだと思いますが。…

なおしま-3

直島の家プロジェクトエリア。 ここでもやっぱり安藤建築に注目してしまいます。 特に最近完成した「ANDO MUSEUM」はいいですね。 規模は小さいですが、スーパーゼネコンの鹿島建設が施工を担当していますので クオリティーが半端無く高い質になっています。 古い建築の内部にコンクリートを挿入するコンセプトは初期の安藤建築にも 登場しますが、本格的に実現したのはこれが初めてではないでしょうか。 「中野島の卵」は、僕が高校生の時に初めて知りましたが、とんでもないインパクトがありました。 そして、長い年月を経て実現するその根気には、改めて尊敬します。 「意志」の力を感じずにはいられない空間でした。 写真はANDO MUSEUMの近くの「ぎんざ」 手前は見ることが出来ましたが奥側の内藤礼さんの作品は見ることが出来ませんでした。…

てしま-2

豊島のつづき。 実は、豊島美術館は豊島編で最後に行きました。 最初に行ったのは、「横尾館」です。 写真がないのは、撮っていないから。 はっきり申しまして、ナメてました。 横尾さんも永山さんも。 これすごいです。おもいっきり心つかまれました。 でも、写真には写りません。だから撮ってないです。 是非、体感してください。 係の女性が外国人で日本語で一生懸命解説していただいたのが嬉しかったです。 最後の棟と赤い空間がとっておきです。 画像は、時間切れで行けなかった「海のレストラン」 半透明のヴォールトはきっと気持いいと思います。 豊島で初めて電動アシスト自転車なるものをレンタルして乗りました。 こんなに楽だとは思いませんでした。 お陰で、坂道だらけの豊島をくまなく回ることが出来ました。 豊島散策にはオススメです。 予約なしでも、簡単にレンタルできます。 もっと長い時間、借りたかったけれどこの日は直島に戻る予定だったので、程々で戻りました。 直島では電動あまり見かけなかったけど無いのかな・・・。…

豊島美術館

今日は、今回の旅のメインイベントである「豊島美術館」 やっとたどり着いた空間にはココロ揺さぶられました。 言葉でいろいろ説明したいところですが、ただただ感動するばかりです。 この建築の技術的な解説を拝読したし、どう作られたか施工的な解説も理解した上でも 尚、この感動の根源を表すことが出来ない気がしてしまいます。 アート建築を純粋に建築と呼べるのだろうか。 アートと建築が機能で分けられるのであれば、豊島はどっち? アートのように振る舞いながら、建築としてここに存在する。 アーティストとアーキテクトの関係性は、ちょっと悩ましい。 shop&cafe棟では、その建築としてのせめぎ合いの跡が残されている。 それに気がついたとき、ちょっと西沢さんに親近感を持ってしまいました。 なにかっていうと・・・。…

Naoshima-2

昨日の続き。 アンドー建築堪能の後、最終のフェリーで高松へ戻る。 直島の玄関口は、SANAAの建築。 古河公園からの系統的なSANAAスタイル。 よく見ると構造の工夫が面白い。 鏡面の壁は耐力壁だが、それを伝える為に梁成ではなく梁巾で対応している。 それが一定ではないので、ターミナル機能と関連しているのかな。 柱は恐らく100Φのパイプか無垢か。 地中美術館のチケットセンターも鉄骨造で安藤風の処理をしているのだが 屋根の感じが安藤さんの処理と全く違って面白い。 そして、醸しだす雰囲気が全く違う。 安藤さんは鉄骨使っても、重さをうまく醸しだす。 ただ、SANAAの方はいつも思うが、使い方というか張り紙のようなサインが多すぎる気がする。 商業的な要素が強いからかもしれないが、古河公園は悲惨だった。 もう少し、アートらしい使い方を考えてくれた方がいいなぁ・・・。 でも、ちょうどクリーニングをしていて、ガラスやデッキの裏面を掃除していたりして 町なりにメンテナンスを頑張っているんだなと感心もしました。 次の日に見たら、ガラス面の反射がとても美しかった。 ちなみに、機械室のような箱が外に飛び出しているが、アンドー風なのにとても軽やかな箱に見えるのは 僕だけでしょうか。…