使い勝手

「SI-house」のオーナー様との会話の中で、ゴミの話題になった。
住んでいれば当然ゴミが出ますが、その処理方法といいますか、最終的にどのタイミングで収集し捨てるのかは人それぞれと思います。
ただ、出来るだけ存在を隠しながら美しく振る舞いたいと思うのは、現代の常識だと思います。
そこで、奥様に「ゴミの保管はどうされてますか?」と聞いた時
「玄関を出てからグルッと裏に回って外の物置に入れるんですよ」とニッコリ。
「あーそれならば、ここらへんに勝手口ドアあった方が良かったですかね?」と私。
すかさず奥様が、「それはナイです!今のままで全然問題ないですよー」と再びニッコリ。
現状のプランで出入り口をつけようとするとリビング壁面が乱れます。
当然、そういう要望があった場合は、出来るだけ綺麗に納まるように考えるのですが
つけない状態の方が美しいのは言うまでもない。
そういう意図を理解して共有しているからこそ、出る言葉だと思います。
設計をする上で、日常の家事動線を短くすることは、当然のことです。
ただし、それは絶対的な正義ではない。
使い方に問題がなければ、或いは別の優先するメリットが明確にあるならば、その設計は正しい。
これは、建築家住宅に住む人には必ず要求される能力だと思いますが
「柔軟な思考」と「対応力」
極端に寒い暑い、極端に強い弱い、というような極限値を除けば、全ての設定は曖昧で個人的です。
設定がMAXに近くなるほど全てコストに反映されますが、全ての設定をMINにして、意匠だけがMAXだったら何が作れますか?
僕の究極の建築はある意味そういうものだ。
でも、それではさすがに私でも住めないだろうから、クライアントと共有しながら設定値を探っていく。
大抵はコストの設定値がFIXされているのは、言うまでもないですが。