PAULO MENDES DA ROCHA

久しぶりの更新です。
見ている人は、あまりいないかもしれませんがひっそりやっていきます。
この歳になると、だんだん建築雑誌を細かく見ることもしなくなってきました。
それは、見方が変わるというか感受性が変化するというか、情熱がなくなったわけでは無いのですが
建築を創る上での経験からの既視感と言いますか・・・。ほとんどの建築はそれがよっぽどの作品で無い限り
ワクワク感とか得体の知れない高揚感は、やはり少なくなっていきます。
一般的には感受性が鈍ったとか、飽きたとかいう表現になるのかもしれません。

しかし、知れば知るほど深みにハマって、わけがわからなくなった時
突然、鮮烈な光がさし込むような建築に、心揺さぶられる事もあります。
そして、それは、何の事はない入口付近で知識を貪欲に欲していた時に通りすぎてしまったものだったりします。
そんな建築に出会ってしまいました。

見ればそれは、プリツカー賞受賞者のパウロ・メンデス・ダ・ローシャの作品でした。
勉強不足を恥じましたが、この住宅作品自体は、建築界でもそんなに知られていなかったようです。
70年に設計されて、74年に竣工していますが、トンデモなく魅力的です。
74年というと安藤さんの「住吉の長屋」と同じ頃です。
これが実現した唯一の住宅だそうです。

なんだか建築はどんどん退化しているように思えてなりません。
もちろん、断熱とかエネルギーとか大事かもしれません。
「住吉」もそうですが、そんなことにほとんど対処されていなくとも、こんなに魅力的な建築なのはなぜでしょう。
それは、恐らく今の時代に建築が求められていることが変化しているからかもしれません。

僕は約40年前の住宅に甚く感激したわけですが、それを維持するお施主様も敬服に値します。
「住吉」のお施主様も立派に住んでますよね。
僕の作品たちもそんな存在になってほしいと願うばかりです。

「新国立」がゼロスタートしましたが、あの建築は多分このような存在になる可能性もゼロになったと思います。